ある朝、「死にたい」と言ったツレ
ポジティブで、仕事も家事も手を抜かないスーパーサラリーマンの夫。
そんなツレが、ある朝ふと「死にたい」とつぶやいた——。
『ツレがうつになりまして。』は、そんなショッキングな一言から始まる、
夫婦の“ほんとうの支え合い”を描いた物語です。
【映画版あらすじ】夫婦でうつと向き合う、長い優しさの記録
映画版『ツレがうつになりまして。』は、宮崎あおいさんと堺雅人さんの共演で、
2011年に公開された作品です。2025年8月3日(日)にはテレビ放送も予定されています。
物語は、明るく頑張り屋だったツレ(幹男)が、ある朝「死にたい」と言うところから始まります。
晴子(宮崎あおい)はその言葉にショックを受けながらも、彼と共に病院へ行き、
診断結果は「うつ病」。原因は、会社の激務とストレスでした。
症状の波に振り回され、会社との板挟みに悩みながらも、
「夫婦」としてどう生きていくかを模索する日々が描かれます。
観る人の心にそっと触れる、穏やかで深い感動を与えてくれる作品です。
【原作マンガ紹介】夫のうつ病と、妻のユーモア
原作は細川貂々さんによるコミックエッセイ『ツレがうつになりまして。』(幻冬舎文庫)。
実体験をもとに描かれたこの作品は、明るくもリアルな視点で、うつ病の夫とそれを支える妻の日常を綴っています。
読後感は「切ない」より「温かい」。
ときに笑いもありながら、夫婦の絆や、働くことの意味を見つめ直させてくれる一冊です。
原作と映画、それぞれの「よさ」
同じ物語を描いていても、原作と映画では伝わるものが少しずつ異なります。
『ツレがうつになりまして。』もその例にもれず、どちらにも“違うよさ”があります。
原作マンガは、妻・晴子の目線で、日々の小さな出来事が淡々と綴られます。
うつ病という重いテーマを扱いながらも、どこかくすっと笑える場面があり、
読者に「こんなふうに受け止めてもいいんだ」と思わせてくれる優しい温度があります。
細川貂々さんの線のやわらかさ、語りのトーンの素朴さもあいまって、
“特別じゃない夫婦”の姿に、親しみや安心感を覚えるのが原作の魅力です。
一方で、映画版は、役者の表情や声、音楽の力で、感情の揺れがぐっと深まります。
ツレの沈黙や、晴子の戸惑いが、言葉を超えてじんわりと伝わってくる。
特に、堺雅人さん演じるツレの「いつものようでいて、どこか壊れている」繊細な演技は、
原作では描ききれない“うつ病のリアル”を映像で浮かび上がらせています。
映画は感情に浸る作品、原作は心を整える作品。
そんなふうに、気分や体調に合わせて読み分け・観分けるのもおすすめです。
「短編シリーズ」で、読むリズムを整える
重たいテーマに触れたあとこそ、少し肩の力を抜いて読みたくなる本があります。
そんなときにおすすめしたいのが、「文庫水族館」の短編シリーズ。
全三話構成でスッと読めて、けれど心にはちゃんと残る。
今のところ2作品のみのラインナップですが、どちらもじっくり味わえる一冊です。
「ツレがうつになりまして。」のように、人生の折り返し地点で迷う気持ちに寄り添ってくれるシリーズです。
興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。
まとめ|うつ病も、夫婦も、簡単じゃない。でも、それでも。
『ツレがうつになりまして。』は、病気や家族というセンシティブなテーマを、
静かな筆致と柔らかなユーモアで描いた傑作です。
観てよかった。読んでよかった。
そう思える作品に、またひとつ出会えるはずです。

