かかしの願い


 見捨てられるのが、どうしようもなく嫌だった。
 たった一人で、あの場所に置いていかれるなんて。

 だから、彼らのあとを追おうとした。
 でも、足は地面に届かなくて、身体は柱の上に釘づけのまま動かなかった。

 生まれたのは、ほんの少し前のことだった。
 あの棒の上で目を開けてから、ずっと、何も考えたことがなかった。
 風の音と、空と、静けさばかりがあった。

 鳥たちが、トウモロコシ畑にやってきた。
 カラスも、名前を知らない小さな鳥も。
 でも、みんな私の姿を見ると――そう、まるで本物の人間みたいに見えたのだろう――すぐに驚いたように羽ばたいて、飛び去っていった。

 そのたびに、胸の奥がふわっとした。
 大切な人間になったような、そんなふうに思えて。

 でも、ある日、違った。
 年老いたカラスが一羽、私の方へ真っ直ぐに飛んできた。
 こちらをじっと見て、それから――私の肩に止まった。

「ふん、農夫のやつ、まったく不器用なごまかし方だな。頭があるカラスなら、こんなのただの藁だとすぐにわかるさ。」

 低く笑って、彼は私の足元へ飛び降りた。
 そして、ためらいもせずトウモロコシをついばみ始めた。
 やがて他の鳥たちも、彼のあとに続いた。
 誰も、私のことなど気に留めなかった。

 群れが膨らんで、騒がしくなっても、私は声ひとつ出せなかった。
 何もできなかった。
 ただ、じっと見ているしかなかった。

 ……悲しかった。
 あんなに誇らしかった自分が、実は何の役にも立っていなかったなんて。

 でも、カラスは優しくこう言った。

「君に脳みそさえあれば、人間たちと同じくらい、いや、もっと良い人間になれるだろう。この世で本当に価値のあるのは脳みそだけだよ。カラスであっても、人間であっても、ね。」

 彼が飛び去ったあと、私は考えた。
 どうしても、脳みそが欲しかった。
 ただ立っているだけなんて、もう嫌だったから。

 そのとき、君がやって来た。
 私をあの柱から助け出してくれた。
 エメラルドの都に行けば、オズが脳みそをくれる――そう聞いて、私は信じることにしたんだ。

「そう願ってるわ」
 私の言葉に、君は真剣にうなずいた。
「あなた、本当にそれを欲しがってるのね。」

「ああ。心からだよ。不安なんだ。自分が愚か者だって知るのは、やっぱり落ち着かない。」

「じゃあ、行きましょう」

 私はそう言って、バスケットを彼に渡した。

 道には柵もなくて、広がっていたのは、耕されていない荒れた土地だけ。
 夕方が近づくにつれて、影が長くなった。
 やがて、大きな森の入り口が見えた。

 木々は厚く、枝が交差して、道をすっかり覆っていた。
 日差しも届かなくなって、あたりはすっかり薄暗かったけれど、私たちは立ち止まらずに進んだ。

「この道を入った者は、必ず出られる」
 かかしがぽつりと言った。
「都は道の先にあるんだ。だから、ただ進むしかない」

「そんなの、誰でも知ってるわ」

「うん。だから知ってるんだ」
 そう言って、彼は笑った。
「もしそれを理解するのに脳みそが必要だったなら、私はこんなこと言えなかっただろうけどね。」

 少し歩くと、辺りは完全に暗くなった。
 私は何も見えなかった。
 でも、トトは見えていたみたい。
 犬って、暗闇でも目が利くのね。

「僕は昼と同じように見えるよ」
 そう言う彼の腕を私はつかんだ。
 その腕を頼りに、私は道を踏みしめていった。

「もし、どこかで家を見つけたら教えて。夜を過ごせる場所がほしいわ。暗闇は、不安で仕方ないから。」

 そのとき、かかしが立ち止まった。

「右手に小屋が見える。丸太と枝でできてる。行ってみようか?」

「ええ、本当に」
 言葉が口からこぼれた。
「もう、くたくたなんです。」

 彼が道を外れて、木のあいだを案内してくれた。
 私たちは小屋にたどり着いた。

 中に入ると、隅に枯れ葉を敷いたベッドがあった。
 私はそこに身体を沈めて、トトを隣に寝かせた。
 そして、何も言わずに、深い眠りへ落ちていった。

 かかしは別の隅に静かに立って、何も言わずに、朝までずっと待っていた。
 眠る必要のないその身体で、夜を越えてくれたのだった。


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