小さな声と、見えない尾


ライオンの声が弾んだ。
「水で……あの魔女が?」

ドロシーが頷くと、彼は大きく息を吐き、ぱっと笑った。
喜びが体からこぼれ出るようだった。

私はすぐに牢獄の門へ向かった。
中にいた魔女――彼女を閉じ込めたことを、もう誰も責めはしない。
私は静かに鍵を回し、重たい扉を押し開けた。

魔女の目がこちらを見た。
けれど、その顔には怒りも恐れもなかった。
私と彼女は無言のまま並んで歩き、城の中へ戻った。

まずしたのは、ウィンキーたち全員を中庭に集めることだった。
彼らは黄色い服を着た人々。
長い間、恐怖と疲労の中に閉じ込められていた。

私は大きな声で言った。
「もうあなたたちは、誰の奴隷でもありません」

誰かが息をのんだ音がした。
そして、一人が拍手をすると、それが次々と連鎖していった。
笑い声が、涙と一緒に空に舞い上がる。
誰もが踊り出し、ごちそうが運ばれた。
今日が祝日になると、彼らは誓っていた。

ライオンが私のそばに来て、小さな声で言った。
「かかしと木こりも、ここにいればなあ」

私は目を伏せた。
「……彼らを助けられないかしら?」

ライオンはしばらく黙っていたが、やがて頷いた。
「やってみよう。きっと方法があるはずだ」

私たちはウィンキーたちに声をかけた。
「仲間を助けたいんです。手伝ってくれますか?」

ウィンキーたちは迷いなく答えた。
「もちろん。あなたが自由をくれたように、今度は私たちが力になります」

私は周囲を見渡し、賢そうな顔の人々を選んだ。
準備が整うと、私たちは出発した。

道は長く、岩がごつごつと足元を揺らした。
やがて、ブリキの木こりが倒れていた場所にたどり着いた。
金属の体は曲がり、腕と足が不自然な角度を描いていた。
近くには錆びた斧が転がっていた。柄は途中で折れていた。

ライオンがそっと彼を抱き上げた。
私は足元を見つめ、静かに涙を流した。
かつて笑い合った友達が、こんな姿で置き去りにされていたことが、ただ悲しかった。

城へ戻ると、私は聞いた。
「ウィンキーの中に、ブリキ職人はいますか?」

「いますよ。腕の良いやつがたくさんね」と、彼らは胸を張った。

「なら、連れてきてください」

やがて、道具を詰めた籠を持った職人たちがやってきた。
私は丁寧に頼んだ。
「この木こりの体を、もとの形に戻してあげられませんか?」

職人たちは黙って頷いた。
その目は真剣で、どこか優しかった。

黄色い城の大広間。
そこで作業が始まった。
三日と四晩。
音が響いた。金属を叩く音、磨く音、はんだの匂い。

ついに、木こりは元の姿に戻った。
関節が動き、目がこちらを向いた。
たしかに体のあちこちに継ぎ目はあったけれど、彼はまったく気にしていなかった。

「ありがとう」
そう言って微笑んだ顔は、前と変わらなかった。

ライオンは私の部屋までやって来て、何度も何度も「ありがとう」と言った。
そのたびに涙がぽろぽろとこぼれて、私はエプロンで彼の顔を何度も拭わなければならなかった。

でも私の方も、涙が止まらなかった。
こぼれる涙は温かく、悲しみではなかった。
心からの安堵と、喜びだった。

ライオンの目はぐしゃぐしゃで、尻尾の先で何度も拭っていた。
それでも濡れたままなので、とうとう中庭で太陽に当てることになった。

その夜、木こりがぽつりと言った。
「かかしがここにいてくれたらなあ」

私は、ゆっくりと頷いた。
「探しましょう。絶対に見つけ出します」

次の日、私たちは再び旅に出た。
道を歩いて、ようやく高い木の下にたどり着いた。
その枝には、かかしの服がひっかかっていた。

幹はつるつるで、誰も登れなかった。

「僕が切り倒すよ」と木こりが言った。

ウィンキーの金細工師たちが、彼のために純金の柄を作った。
斧の刃も磨き上げられ、太陽を反射して輝いた。

木はすぐに倒れ、服が枝から滑り落ちた。
私はそれを抱き上げ、ウィンキーたちと一緒に城へ戻った。

きれいな藁で服は詰め直され、かかしはまた笑った。
「ありがとう! 何度でも言うよ、本当にありがとう!」

その数日間、私たちは黄色い城で過ごした。
食べるものも、眠る場所も、静かな時間もあった。

でも、ある朝――私はふと、エムおばさんの顔を思い出した。

「もう行かなくちゃ。オズのところへ」

みんなも頷いた。
木こりは心を。かかしは脳を。ライオンは勇気を。
私は……カンザスへ帰るために。

ウィンキーたちは別れを惜しみ、贈り物をくれた。
ライオンには金の首輪。
トトにも同じもの。
私にはダイヤのブレスレット。
かかしには金の杖。
木こりには宝石をちりばめた銀のオイルカン。

私は戸棚に行って、食料を探していた。
そこで見つけた金の帽子をかぶってみた。
ぴったりだった。魔法のことは知らなかったけど、ただ美しかった。

そして私たちは歩き出した。
風が背中を押すように吹いていた。
エメラルドの都に向かって。


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