朝、私は可愛い緑の少女にキスをして別れを告げた。
そして、門まで一緒に歩いてきてくれた緑のひげの兵隊と、しっかり握手を交わした。
門の守り手は、私たちの姿を見て驚いていた。
「こんなに美しい都を離れて、また旅に出るなんて……」と信じられない様子だった。
けれど、すぐに眼鏡の鍵を開けてくれた。私たちの眼鏡は緑の箱へ戻され、彼は両手を合わせて幸運を祈ってくれた。
「あなたはもう、私たちの支配者です」と彼はかかしに言った。
「ですから、できるだけ早くお戻りください。」
「できればそうしたいのですが、まずはドロシーを家に帰さないと」と、かかしは答えた。
私は門の守り手に、最後のあいさつをした。
「この街では、本当に親切にしていただきました。皆さんに良くしてもらって、感謝しています。」
「無理しなくていい。愛しい人よ」と、彼は優しく答えた。
「本当は君をここに留めておきたかった。でも、カンザスに戻りたいなら、きっと方法が見つかるさ。」
それから彼は、外の大きな門を開けてくれた。
私たちは歩き出し、再び旅が始まった。
太陽がまぶしいほど輝いていた。
私たちは南の国を目指して進んだ。
みんな機嫌がよく、笑いながらおしゃべりしていた。
私は、また家に帰れるという希望に胸をふくらませていた。
かかしとブリキの木こりは、私の助けになれることを喜んでくれていた。
ライオンは新鮮な空気に深く息を吸い込み、尻尾をふって嬉しそうだった。
「やっぱり、田舎がいちばんだな」
トトは跳ね回って、蛾や蝶を追いかけ、ずっと楽しそうに吠えていた。
「やっぱり都会は向いてない」と、ライオンが言った。
「エメラルド・シティで暮らしてたら、肉が落ちちまった。これからは森で、他の獣たちに見せてやりたいんだ。俺の勇敢さをな!」
私たちは振り返って、最後に一度だけエメラルド・シティを見た。
緑の壁の向こうに、高い塔と尖った屋根がいくつもそびえていた。
さらに高く、オズの宮殿の大きなドームと塔が空に突き出ていた。
「オズって、思ったほど悪い魔法使いじゃなかったよね」
ブリキの木こりが、胸に手をあててつぶやいた。
そこには、彼が手に入れた心臓が静かに動いていた。
「脳だって、ちゃんとくれたよ」と、かかしは言った。
「それも、とってもいいやつをね。」
「もし、オズが俺と同じ勇気を飲んでたら、きっと勇敢な男になってただろう」と、ライオンがうなずいた。
私は黙っていた。
オズは確かに、約束を果たせなかった。
でも、できる限りのことをしてくれた。
私はそれで十分だった。
彼は悪い魔法使いだったけれど、心の優しい人だったと、今は思う。
旅の最初の日は、緑の草原を進んだ。
そこには、色とりどりの花が咲き乱れていた。
夜になると、私たちは草の上に寝そべって、星空を見ながら眠った。
心地よい眠りだった。
朝になると、旅は続いた。
そのうち、深い森へとたどり着いた。
見渡すかぎり、森は左右にどこまでも広がっていた。
回り道は無理そうだった。
道に迷うのも怖かった。
だから、私たちは森に入れそうなところを探すことにした。
先頭を歩いていたかかしが、大きな木の下に、広く開いた空間を見つけた。
みんなが通れそうな高さがあった。
かかしがそこに向かって歩いていった。
でも、一つ目の枝をくぐったその瞬間――
枝がばきっと折れて、彼に巻きついた。
次の瞬間、かかしの体は空中に放り上げられ、みんなの前にどさりと落ちてきた。
怪我はしていなかったけれど、顔がぼんやりしていた。
私が助け起こすと、かかしは少しふらふらしていた。
「木々の間に、もう一つ空間があるよ」と、ライオンが声を上げた。
「じゃあ、僕がまた行きます」と、かかしが言った。
「どうせ投げ飛ばされても痛くないですから」
彼は別の木に近づいた。
けれど、また同じことが起きた。
枝が彼を捕まえて、ぽんと放り出した。
「おかしいわね……どうすればいいの?」
私は思わず叫んだ。
「木々が戦ってる。通らせまいとしてるんだ」と、ライオンが答えた。
「なら、やってみよう」と、ブリキの木こりが言った。
彼は斧を肩にかつぎ、かかしを投げたあの木に近づいていった。
木がまた枝を伸ばしてきた。
だが、木こりはためらわず、それを真っ二つに切り落とした。
すると、木は苦しげに全身の枝を震わせた。
その隙に木こりは木の下を通り抜けた。
「早く、今のうちだ!」と彼が叫んだ。
私たちは急いで木の下をくぐった。
無事に通れた。
ただ、トトだけが小さな枝に引っかかり、キャンと鳴いた。
でも木こりがすぐに助けてくれた。枝を切って、トトを自由にした。
ほかの木々は動かなかった。
どうやら、森の入り口にいたあの木々だけが、特別だったらしい。
まるで森の警備隊みたいに、よそ者を追い返す力を与えられていたのかもしれない。
私たちはそのあとはスムーズに歩き、やがて森の奥にたどり着いた。
けれど、目の前に現れたのは――
白くてつるつるした、まるで陶器のような壁だった。
高くて、私たちの頭よりもずっと上までそびえていた。
お皿の表面みたいに、なめらかで冷たそうだった。
「これからどうするの?」と私は尋ねた。
「はしごを作ろう」と、ブリキの木こりが答えた。
「どうしても、あの壁を越えなきゃいけない」