陶器の国


木こりが森の中から見つけてきた木で、はしごを作っているあいだ、私はくたびれて、草の上に横になった。
いつの間にか眠ってしまっていた。

ライオンも丸くなって寝ている。
トトはそのそばで体を小さく丸めていた。

かかしは、木こりの手元を見守っていた。ふと、口を開いた。

「この壁、なぜここにあるのかも、何でできてるのかも、さっぱりわからないよ」

木こりは、斧を動かしながら言った。

「頭は休めておけ。壁のことは、気にしなくてもいい。乗り越えれば、向こうがどうなってるか分かるさ」

やがて、はしごができあがった。見た目はちょっと頼りなげだったけれど、木こりは大丈夫だと確信していた。

かかしが私たちを起こして、はしごの完成を知らせてくれた。

先にかかしが登っていったけれど、あまりにも不器用だったから、私はすぐ後ろから支えてやらなければならなかった。

かかしが壁のてっぺんに頭を出すと、びっくりしたように「あらまあ!」と叫んだ。

「何があるの? 続けて」

私も声を上げた。

かかしはさらに上まで登り、壁の上に腰をおろした。私もそのあとを追って、壁の端に顔を出した。

「まあ!」と声が出た。

トトもやってきて、すぐに吠えはじめた。私はトトを抱き上げて、静かにさせた。

次にライオンが登り、そしてブリキの木こりも登ってきた。二人とも壁の向こうを見たとたん、「あらまあ!」と声をそろえた。

私たちは並んで壁の上に腰を下ろし、目をこらして下を見た。そこで見たものは——

まるで夢みたいな光景だった。

広い平地が広がっていた。
地面はつるつるで、皿の底のようになめらかだった。白く光っていて、どこまでも続いていた。

あちこちに、小さな家が点々と立っている。どれも陶器でできていて、色鮮やかに塗られていた。
一番大きな家でも、私の腰くらいの高さしかない。

納屋もあった。これも陶器で、柵に囲まれていた。中にはたくさんの動物たち。
牛も羊も馬も豚も鶏も、ぜんぶ陶器でできている。

でも、いちばん驚いたのは、その国に住む人たちだった。

乳搾り娘や羊飼いの女の子たちは、色とりどりの胴着に、金の斑点が散りばめられたガウンを着ていた。
お姫さまたちは、銀と金と紫の、きらびやかなドレス。
羊飼いたちは、ピンクと黄色と青のしま模様の半ズボンをはき、靴には金のバックルがついていた。
王子たちは、頭に宝石の冠をかぶり、アーミンのローブと、サテンのダブレットを身に着けていた。

そして、ピエロたちはフリルのついたガウンに、赤い丸い斑点のある頬。とがった帽子までかぶっていた。

それだけじゃない。

その国の人たちは、服も体もぜんぶ陶器でできていた。
とても小柄で、一番背の高い人でも、私の膝くらいの高さしかなかった。

最初、誰も私たちを見ようとはしなかった。

でも、一匹の紫色の陶器の犬が、特大の頭でちょこちょこやってきて、壁の下からこっちを見上げ、小さな声で吠えた。
そのあとすぐ、逃げていった。

「どうやって降りればいいのかしら?」

私は梯子を見おろした。けれど、重すぎて引き上げることはできなかった。

すると、かかしが壁から落ちた。

他のみんなは、その上に飛び降りていった。硬い床で足を痛めないように、かかしをクッション代わりに使ったのだ。

もちろん、頭に落ちてピンが足に刺さらないよう、気をつけて。

全員が無事に降りたあと、ぺしゃんこになったかかしを抱き起こし、わらを叩いて元の形に戻した。

私は言った。

「向こう岸に行くには、この国を通らなきゃ。真南以外の道を選ぶのは、たぶん得策じゃないわ」

そうして、陶器の人たちの国を歩き始めた。

最初に出会ったのは、陶器の乳搾り娘だった。陶器の牛の乳を絞っているところだった。

私たちが近づいた瞬間、牛が突然後ろ足を蹴り上げた。

椅子も、バケツも、乳搾り娘までもが、陶器の床に倒れこんだ。

バリッという音がした。

私は、バケツがいくつかのかけらに割れているのを見た。牛の足も折れていた。
乳搾り娘の左ひじには、細かいヒビが入っていた。

「なにしてくれるのよ!」

乳搾り娘が怒鳴った。

「牛が足を骨折しちゃったじゃない!修理屋に連れて行って接着してもらわなきゃいけないのよ。何のつもりで、牛を驚かせたりするの?」

「ごめんなさい。そんなつもりはなかったの。本当に申し訳ないわ」

私はそう答えた。けれど、娘は怒りすぎていて、もう何も聞こうとしなかった。

彼女はぶすっとした顔で、割れた足を拾い、三本足で引きずるように牛を連れて行ってしまった。

そのとき、乳搾り娘は肩越しに私たちを何度もにらんだ。
ひじをそっと脇に押しつけながら、何も言わず、遠ざかっていった。

私は、胸が痛くなった。

こんなふうに、誰かを困らせるつもりなんてなかったのに——。


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