邪悪な魔女がまた外を見た。
カラスたちが山のように倒れているのを見て、怒りが体の中で燃えあがった。
彼女は銀の笛を三度吹き鳴らす。高く響く音が、静かな空気を切り裂いた。
すぐに、空の彼方から羽ばたきの音が大きくなった。
黒い蜂の群れが、彼女めがけて飛んでくる。
「よそ者のところへ行け。刺して殺せ!」魔女の声は冷たくて厳しい。
蜂たちは猛スピードで飛び去り、ドロシーと友達のいる道へ向かった。
けれど、木こりは蜂の接近に気づき、かかしは何かを決めていた。
「わらを取って、女の子と犬とライオンに撒いてくれ。」木こりは冷静に言う。
「そうすれば蜂は刺せないから。」
わらはふわりと舞い落ち、ドロシーはライオンのそばでトトを抱いた。
三人がわらに包まれて守られているように見えた。
蜂たちは近づき、刺す相手が木こりしかいないと知ると、一斉に彼に襲いかかった。
ブリキの体は針を受け止め、蜂の針は折れて落ちていった。
木こりに痛みはなかった。蜂はもう動けず、小さな黒い山のように地面に散らばった。
ドロシーとライオンは立ち上がった。
ドロシーは木こりを助け、かかしにわらを詰め直す。
かかしはまた元通りになり、三人は旅を続ける準備をした。
邪悪な魔女は、自分の蜂たちが山のように倒れているのを見て怒りを爆発させた。
足を踏み鳴らし、髪を乱し、歯をぎりぎりと鳴らす。
次に彼女は、ウィンキーと呼ばれる奴隷たちを十二人呼び寄せた。
鋭い槍を持たせて、蜂を殺しに行けと命じる。
ウィンキーたちは勇敢ではなかった。
ただ命令に従うしかなかった。
彼らは行進し、ドロシーの近くまで来る。
その時、ライオンが大きな吠え声を上げた。
恐ろしい声でウィンキーたちに飛びかかると、彼らは驚き、逃げ出した。
城に戻ると、魔女は鞭で彼らを打ち叩き、怒りをぶつけた。
そして、静かに腰を下ろし、次に何をすべきか考え込んだ。
なぜ、自分の計画はいつも失敗するのか、理解できなかった。
しかし、彼女は強力な魔女だ。すぐに決断した。
戸棚の中に置かれた、金の帽子を取り出す。
それはダイヤモンドやルビーが輝く美しい帽子だが、ただの装飾ではない。
呪文がかかっていて、三度だけ翼のある猿を呼び出せる。
その猿たちはどんな命令も聞くが、三度以上は命令できない。
魔女は二度使っていた。
一度目はウィンキーたちを奴隷にした時。
二度目は偉大なオズと戦い、西の国から追い出した時だ。
今、最後の一度を使う時が来た。
獰猛なオオカミも、野生のカラスも、刺す蜂も、もういない。
奴隷たちも怖がって逃げてしまった。
魔女は帽子をかぶり、左足で立った。
「エッペ、ペッペ、カッケ!」と言う。
次に右足で立ち、
「こんにちは、こんにちは、こんにちは!」と続ける。
両足で立ち、大声で叫ぶ。
「ジジ、ズジ、ジク!」
呪文が空に広がる。
空は暗くなり、雷のような音が轟いた。
たくさんの羽ばたきが聞こえ、笑い声が響く。
暗い空から、翼のある猿たちが姿を現した。
彼らは大きな翼を背に、魔女を囲んでいる。
リーダーらしい猿が飛び、魔女の前に立った。
「最後の呼び出しをしましたね。命令は?」
「よそ者たちを皆殺しにしなさい。ただしライオンだけは連れて来い。馬のように繋ぎ、使いたい。」
リーダーはうなずき、大声で叫んだ。
猿たちはドロシーたちのいる場所へ飛んで行った。
彼らはブリキの木こりをつかみ、空に持ち上げた。
岩がごろごろする土地の上空で、木こりを落とす。
木こりは傷つき、動けなくなった。
他の猿たちはかかしを捕まえ、服も麦わらも引き抜いた。
帽子やブーツも束ねて、高い木の枝に投げた。
残った猿はライオンにロープをかけ、何度も巻きつける。
ライオンは抵抗できず、彼らは持ち上げて城に連れて行った。
ライオンは高い柵の中の庭に閉じ込められた。
ドロシーは何も傷つかなかった。
トトを抱えながら、仲間の運命を静かに見つめる。
自分の番が来るのを覚悟していた。
猿のリーダーはドロシーに飛びかかった。
長い腕を伸ばし、恐ろしい顔で笑った。
けれど、ドロシーの額のキスの跡を見て止まった。
「この少女に手を出すな」と合図を送る。
「善の力が彼女を守っている。悪より強い。」
私たちができるのは、彼女を魔女の城に連れて行くことだけだ。
猿たちは優しくドロシーを抱え、空中を飛んだ。
城の玄関に降ろすと、リーダーは魔女に言った。
「木こりとかかしは殺され、ライオンは縛られた。
女の子と犬には手を出さなかった。
私たちの力はここまでだ。もう二度と会うことはないだろう。」
猿たちは笑い声と共に飛び去っていった。
魔女はドロシーの額を見て驚き、心配した。
自分も猿たちも、彼女を傷つけられないのだと知っている。
魔女はドロシーの足元の銀の靴を見つめ、震えた。
その力の大きさを知っているからだ。
逃げようと思ったが、ふと子供の瞳を見た。
素直な魂と、力を知らない無垢さがそこにあった。
魔女は笑った。
「まだ奴隷にできる。使い方を知らないのだから。」
そう言うと、魔女はドロシーに厳しく命じた。
「私について来なさい。私の言うことを聞け。
さもなければ、木こりとかかしと同じように殺す。」
ドロシーは魔女の後をついて、美しい部屋をいくつも通り過ぎた。
やがて台所にたどり着く。
魔女はドロシーに掃除や薪をくべることを命じた。
ドロシーは一生懸命働こうと決めた。
殺されないことが嬉しかったから。
その間、魔女は中庭へ行き、ライオンを馬のように繋ごうと考えた。
馬車を引かせたら面白いと思ったのだ。
だが、門を開けるとライオンは咆哮し、激しく飛びかかる。
魔女は怖くなり、門を閉めてしまった。
「繋げなければ、食べさせない。」
魔女は門越しに脅した。
だが、ライオンは答えた。
「入ったら噛むぞ。」
ライオンが食べられたのは、毎晩ドロシーが密かに食べ物を運んだからだ。
食後、ライオンは藁のベッドに横たわり、ドロシーは隣で寄り添った。
二人は脱出方法を考えたが、城はウィンキーたちに守られていた。
彼らは魔女の奴隷で、言うことを聞かない。
日中、ドロシーは働き、魔女は傘で脅した。
しかし、額の傷のせいで魔女は殴れなかった。
ある日、魔女がトトを殴ると、小さな犬が反撃した。
魔女は血も出ず、長年の邪悪が体を蝕んでいた。
ドロシーは帰れない悲しさに涙を流す。
トトは隣でじっと見つめ、彼女の気持ちを察していた。
魔女は銀の靴を狙い続けた。
すべての手は尽き、力は弱まり、靴だけが残った。
ドロシーは靴を脱がず、大切にしていた。
魔女は夜も風呂場も恐れて近づけなかった。
ずる賢い魔女は策を練った。
台所に見えない鉄の棒を置き、ドロシーがつまずくのを待った。
ある日、ドロシーは倒れ、靴の片方が脱げた。
魔女はすぐに奪い、自分の足に履かせた。
魔女は喜んだ。
靴の半分の力を得たからだ。
ドロシーは怒り、「靴を返して!」と叫んだ。
「やらないわ。もう私のものよ。」魔女は笑う。
ドロシーはバケツの水をかけ、魔女は叫びながら縮んだ。
「何をしたの!溶けちゃう!」
「ごめんなさい」ドロシーは震えながら言った。
魔女は泣き叫び、絶望的な声で言う。
「水が私を殺すなんて知らなかったの?」
「だめよ。どうするの?」ドロシーは聞いた。
「あと数分で消えてしまう。お城はあなたのものよ。
悪事を終わらせてくれてありがとう。」
魔女は茶色い塊となり、床に広がった。
ドロシーは水をかけて、すべてを掃き出した。
銀の靴を拭き、乾かし、足に戻した。
やっと自由を手に入れた。
ドロシーは中庭に走り、ライオンに告げた。
「西の悪い魔女はもう終わり。私たちは囚人じゃない。」