兵士の口ひげは、まるで草のように濃くて緑色だった。
その兵士が案内してくれる道は、エメラルドの都の中でも特別にきらめいて見えた。
わたしたちはゆっくりと歩き、門の守護者の家へ向かった。
彼は黙って、わたしたちの眼鏡の鍵を開けて、大きな箱にしまった。
そして門を開けるとき、少し顔をしかめながらも、丁寧に送り出してくれた。
「西の悪い魔女のところへ行くには、どの道を行けばいいの?」
わたしがそう尋ねると、彼は少し眉をひそめた。
「道などないんだ」
その言葉は、わたしの胸の中に冷たい風のように吹き込んだ。
「それじゃあ、どうやって彼女を見つけるの?」
わたしは思わず聞き返す。
「見つけようとしなくても、あの魔女は勝手にやってくるさ。
君たちがウィンキーの国にいると知れば、すぐにでも奴隷にしようと近づいてくるだろう」
「でも、わたしたちは彼女をやっつけようとしてるんだよ」とかかしが言った。
その声は、いつもより少しだけ自信があるように聞こえた。
門の守護者はふっと笑って首を振った。
「誰もあの魔女を倒せた者はいない。だからこそ、君たちもただの獲物だと思っているさ。
……だが、太陽が沈むほうに向かって進めば、きっと彼女に出会えるはずだ」
わたしたちは礼を言って、門をあとにした。
都を出ると、草原にはヒナギクやキンポウゲがちらほらと咲いていた。
光が強く、眩しかった。
それなのに、ドレスはもう緑ではなく、真っ白になっていた。
トトの首のリボンまで、わたしのドレスと同じ白。
都のきらめきが、まるで夢だったかのように、少しずつ遠ざかっていった。
西へ進むにつれて、草原は荒れていった。
丘が連なり、風が重くなり、家も畑も見当たらない。
ただ、歩くしかなかった。
午後には太陽がわたしたちの顔をじりじりと焼きはじめた。
木陰がないせいで、わたしとトトとライオンは早々に疲れてしまった。
わたしたちは草の上に身を投げ出した。
かかしとブリキの木こりは、じっと見張りを続けてくれた。
そのころ、西の魔女は自分の城の入口に座っていた。
彼女の片方しかない目は、まるで空を突き抜けるように遠くを見通していた。
そして——
彼女は、わたしたちの姿を見つけた。
怒りをあらわにし、首にかけた銀の笛を吹いた。
すると、すぐに巨大な狼たちが彼女のもとに集まってきた。
彼らの目は鋭く、脚は長く、牙はナイフのようだった。
「行ってあの者たちを引き裂きなさい」
魔女の声は低くて冷たかった。
「奴隷にするんじゃないんですか?」と狼の王が聞いた。
「必要ないわ」
魔女は平然と答えた。
「一人はブリキ、一人はわら、一人は子ども、一人は臆病なライオン。
どれも使いものにならないわ。すべて、細かく裂いてしまいなさい」
狼たちは咆哮を上げながら駆け出していった。
けれど、かかしと木こりは眠ってなどいなかった。
近づいてくる音を聞きつけ、目を覚ましたのだった。
「これは、ぼくの戦いだ」
ブリキの木こりがまっすぐ立ち上がり、そう言った。
「君たちは後ろに下がっていてくれ」
彼の手には斧があった。
それは緑の砥石で研がれ、ぴかぴかと光っていた。
一匹目の狼が飛びかかった瞬間、木こりの斧が素早く動いた。
頭が宙に舞い、狼はその場に崩れた。
二匹目も、三匹目も、そして……四十匹すべての狼たちが、木こりの前で倒れていった。
斧を置き、木こりはかかしの隣に座り込んだ。
「見事だったよ」
かかしは、ただ静かに言った。
翌朝。
わたしが目を覚ますと、そこには死んだ狼たちの山。
目を疑った。
でも木こりは落ち着いて、昨夜のことを話してくれた。
わたしは彼に心から感謝した。
そして静かに、朝食をとった。
また旅が始まる。そう思った。
そのころ、魔女はもう一度城の入口に出ていた。
片目で空をにらむと、狼たちが全滅しているのを見て怒りを爆発させた。
再び、銀の笛を吹く。
二度、鋭く。
今度は——
空を覆うほどのカラスたちが押し寄せてきた。
黒い羽音が、まるで夜の風のようだった。
「目を突き、体を裂け」
魔女は叫んだ。
空が暗くなり、カラスの群れが近づいてくる。
わたしは思わず叫びそうになった。
でも——
「これは、ぼくの戦いだ」
かかしの声が落ち着いて聞こえた。
「君は地面に伏せて。傷つけたりしない」
わたしたちは言われた通り、地面に横になった。
ただ、かかしだけが立っていた。
両手を広げたその姿に、カラスたちは一瞬戸惑った。
「案山子か?」と誰かが言ったような気がした。
だが、王様カラスが叫んだ。
「ただのわら人形だ。やってしまえ!」
王様が突っ込んできた瞬間、かかしが動いた。
その首をつかんで、ひねる。
ぱきんと音がして、王様は動かなくなった。
次のカラスも——
また次も。
四十羽のカラスが、かかしのそばで命を落とした。
わたしたちはゆっくりと起き上がり、ふたたび歩き出した。
静かで、でも確かな足取りだった。