人生2回目チケット-1話


白色の反射は反撃の能力伴っておらず 8/15のギラついた太陽に白いYシャツは燃やされ続ける

クソ暑い中のスクランブル交差点の密度の原因は消費行動に向かう人の群れであって、戦没者慰霊の群衆ではない。

スクランブル交差点のそとわに等間隔で配置された「ひ激派」印のからくりAI少女ドールたちがビラを配る姿を撮影するために国営放送のスタッフが
ひ激派グループのメンバーと打ち合わせしている
「8月のジャーナリズムで血餅された傷口はけして治ることはない!!」
と印字されたビラは、ときより吹く熱風に煽られ
私のYシャツに触れ一瞬で燃え尽きた。

高校卒業後入社した東京の陰謀加工会社 
国家・大手メディアの原材料を元により誤差の少ない陰謀を様々な形状に加工し製品化する会社 店頭に並んだ陰謀加工商品はよく売れる
前日のワイドショーで特集を組み、10時より〇〇店にて販売開始!!とCMを打ち大衆扇動し、その時間を狙って非正規の窃盗団を派遣し、数カ月後
警備会社の株が跳ね上がる。我が国の最強デマゴーグは我が社の会長の弟さんだ。

私はこのスクランブル交差点を勤続40年毎日渡った
原材料になる情報を記憶し、決められたルートで第一工場に届ける
一番深いホモ・サピエンスのセンスはデジタルに全幅の信頼を置くことはできず、アナログだが安価で確実に行方がわかる方法が採用されるている
私の40年は往復ピッタリ2kmに費やされた。

41年目の春に
一通の封書が届いた
差出人は「もう一人のあなた」と書いてあった。

差出人の「もうひとりのあなた」は30年前 当時のトレンディー俳優が出演し話題になったドラマタイトルで年末の流行語大賞に選出されていた。

内容は
(もうひとりの自分に自分の存在を伝えれば、自分は生かされ 伝えなければ相手が生かされる) 

もう一人の自分が健気に生きている姿を堕落した生活を送る自分が生きる価値とは何なのかと考え 最後のどのような判断を下すのかという物語
登場人物に存在した哲学者を真似た「拝出」や「二知恵」が出てくるところは視聴者が気づいたかわからないが、脚本家の思考が垣間見え魅力の一つだった。

封書を開封する為に手にしたペーパーナイフを置き pcの検索バーに
「ドラマ もうひとりのあなた」と打ち込んだ

ドラマの概要が記されたページや主題歌がアップされた動画
主演俳優のその後など、懐かしさを感じながら閲覧し、検索ページを進め
2ページ目の中段に
「もうひとりのあなた 人生二回目チケット」と書いてあったので興味半分でクリックした。

都市伝説を集めたサイトで、その中に人生二回目チケットと書かれた項目があり、「差出人のもうひとりのあなたから人生二回目チケットが届く もう一回人生を経験できるチケットだが、現在の記憶は抹消される。送られる人の条件の一つは自分がない人であるらしい」

机に置いた封書をゆっくりと手にしてひっくり返す
そこには間違いなく「もうひとりのあなた」と私の筆跡で書いてあった

「うわっ なんだよ これ!!」 

独り身になって自分の趣味で埋め尽くされたこの部屋は唯一の平穏を与えてくれる場所であったが、封書が放つ異様な氣に耐えられず部屋を飛び出したが、気軽に遊びにいける友人は皆無、同僚もプライベートでは付き合いはない 一人でいることができない恐怖が襲いかかる
とにかく群衆の中の群集心理の埋没し 自己消失する安心感がほしい
足はいつものスクランブル交差点向かい私はそれを拒否しなかった


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