わたしの家は、カンザスの広い草原のただなかにある。
叔父のヘンリーと叔母のエムと三人で暮らしている。
家は小さくて、たった一部屋だけ。
古びたストーブやテーブル、椅子が並んでいて、わたしはその隅っこに小さなベッドをもらった。
外には木も家もなくて、どこまでも広い灰色の草原が空のぎりぎりまで続いている。
昔、家は白く塗られていたそうだけれど、太陽のせいで色がはげ落ちてしまい、今は周りの景色と同じように色あせてしまった。
叔母さんも、かつては若くてきれいだったらしいけれど、今はいつも無表情で、わたしの笑い声に驚くばかりだ。
わたしのそばにいるのはトトだけ。
小さくて黒い犬で、いつも元気いっぱいに走り回っている。
トトがいるから、わたしは少しも寂しくない。
だけど、今日の空はいつもよりずっと暗くて、風の音がざわざわと不気味に聞こえる。
叔父さんは外の様子をじっと見て、なにかを心配しているようだった。
「嵐が来るわ」と叔母さんが叫んだ。
わたしはトトを抱きかかえて、小さな地下室へ急いだ。
でもトトは怖がって、ベッドの下に隠れてしまった。
家がぐらぐらと揺れて、わたしはよろめいてしまった。
次の瞬間、家がくるくると回りだし、空の中へふわりと持ち上げられていくのを感じた。
風はすごく強いのに、家の中は静かだった。
トトは落ち着かずにあちこち走り回っているけれど、わたしはじっと座って、この不思議な旅を待っていた。
どれくらい時間がたったのか分からない。
怖かったけれど、いつのまにか安心して目を閉じてしまった。