何かが、私を強く引っ張った。
息が止まるかと思った。目が覚めたとき、まだ夢の中にいる気がして、しばらく動けなかった。
トトの鼻先が、私の頬に触れた。冷たくて、湿っていて、それが現実だった。
私は、やっと息をした。
彼は小さく鳴いて、私を見つめた。とても悲しそうに。
ああ、そうだ――終わったんだ。
もう、揺れていない。
私は身体を起こし、周囲を確かめる。光が、窓から差し込んでいた。
静かな明るさだった。どこも暗くなかった。
私はベッドから飛び出し、トトのあとを追って走った。
扉に手をかけて、少し迷って、それから――開けた。
光が、わたしを包んだ。
思わず、声が漏れた。
眩しさのせいではなかった。あれは、驚きだった。目の前に広がるものが、あまりにも――
緑。
花。
果実。
鳥の羽音。
この世のものとは思えなかった。
風が頬を撫で、小川の音が聞こえた。生まれて初めて、音に「やさしい」という言葉を思った。
私は立ち尽くしていた。
――あれは竜巻だったはず。
けれど、こんな穏やかな終わり方があるなんて。
目を凝らすと、人影が見えた。
こちらに向かってくる。
小さな人たち――いや、私と同じくらいの背丈。
でも、その顔は。
ずっと年上のような。見たこともない服。色。動き。
私は、知らない場所にいた。
そして、誰も知らない人たちが、こちらへと歩いてきていた。
彼らは三人の男と、一人の女だった。
どこか変わった服を身につけている。
頭には、丸くて、てっぺんが少し尖った帽子をかぶっていた。
そのつばの縁には、小さな鈴がついていて、歩くたびにチリンチリンと音が鳴る。
男たちの帽子は青色だった。
女の人は小柄で、白い帽子をかぶっている。
肩からは、プリーツが入った白いガウンをまとっていた。
そのガウンには、小さな星が散りばめられている。
太陽の光を浴びて、まるでダイヤモンドのようにきらめいていた。
男たちは帽子と同じ青の服を着て、磨き上げられたブーツを履いている。
そのブーツは、つま先に深い青のロールアップがあった。
ヘンリーおじさんくらいの年だろうか、と私は思った。
あごひげを生やしている男が二人もいるから。
けれど、女の人は違った。
間違いなく年をとっている。
顔には深いしわが刻まれていて、髪はほとんど白かった。
歩き方はどこかぎこちなくて、少し心配になるほどだった。