■ タイパ時代に問いかける、情熱の意味
2025年7月9日(水)夜10時、青春ドラマの新たな旗手が開幕する。
タイトルは『ちはやふるーめぐりー』。當真あみ演じる主人公・藍沢めぐるは、「青春なんて非効率」と割り切る今どき女子高生。だが、上白石萌音演じる和装教師・大江奏との出会いで、その価値観が揺らぎ始める――。
タイムパフォーマンス–タイパを求める現代の高校生が、“競技かるた”という時間のかかる熱に触れ、仲間と共に全国を目指す。
かるたという題材ながらも、そこに描かれるのはまぎれもない青春そのものだ。
ちはやふる(1) (BE・LOVEコミックス) Kindle版 末次由紀 (著)
■ 原作は末次由紀の傑作『ちはやふる』
原作は、末次由紀が2007年より講談社『BE・LOVE』で連載した同名コミック。
小学生の千早と新の出会いをきっかけに、百人一首競技かるたに目覚めた少女が、仲間たちと切磋琢磨しながら成長していく。
特筆すべきは、単なる“部活もの”にとどまらず、言葉の美しさと感情の機微を重ねながら、キャラクターそれぞれの“情熱”と“挫折”を描き抜いた点だ。
かるたという静的競技に、熱狂的なまでの躍動を吹き込んだその筆致は、まさに青春漫画の金字塔。
新ドラマ版では、その精神を引き継ぎながら、全く新しいヒロインと現代の価値観を取り入れた構成で、令和世代の“札”と向き合う姿が描かれる。
■ 原作『ちはやふる』との違いと共通点――“情熱”を今に引き継ぐ
『ちはやふるーめぐりー』は、末次由紀による原作『ちはやふる』とは登場人物も時代背景も異なる、いわば“スピンオフ”のような新作だ。
原作では、小学生の千早が新や太一と出会い、青春のすべてをかるたに賭けていく姿が中心に描かれていた。競技の厳しさや悔しさ、そして仲間との絆が、丁寧に積み重ねられていく長編青春叙事詩である。
一方、今作の主人公・藍沢めぐるは、“情熱”をそもそも信用していないZ世代の象徴だ。すべてをタイパ・コスパで判断し、感情よりも合理性を優先する彼女にとって、かるたは“意味不明の非効率”でしかなかった。
だが、その“意味のなさ”にこそ、かけがえのない価値が宿っている。そこに気づいていく構成は、原作の千早が「速さ」に衝撃を受け、「夢中になる」ことの意味を知ったプロセスと呼応している。
原作が描いた「まっすぐな情熱の物語」は、今作では「一度否定したものを信じ直す過程」として描かれる。
時代が変わっても、青春が持つ“熱”の正体は変わらない。
その真実を、ふたたび丁寧に届けようとする姿勢が、この新たなドラマには息づいている。
■ まとめ
“青春なんて非効率”。
そう思っていた少女が出会ったのは、千年を超えて人の心を繋ぐ、ひとつの札だった。
『ちはやふるーめぐりー』は、現代の感覚で描き直された青春群像劇であり、同時に原作『ちはやふる』へのリスペクトが込められた新しい物語でもある。
効率だけでは測れない、情熱の意味を――
今こそ、“かるた”の世界に触れてみてはいかがだろうか。
ちはやふる(1) (BE・LOVEコミックス) Kindle版 末次由紀 (著)

