わたしを気にしてくれた日、心の扉が少しだけ開いた。

第3章 ★★★Approach──接近 昼休みの終わりを告げるチャイムが、校庭の空へと吸い込まれていく。鉄棒のそばに、咲良の姿があった。ランドセルを傍らに置き、膝の上にノートを広げている。鉛筆の先が紙の上を静かに走る。わ … 続きを読む

“ありがとう”は、ノートの中に隠した。

第2章 ★★Rescue──救済 死神は、砂時計を握ったまま、しばらくその場に立ち尽くしていた。 砂は落ちきっている。 それは、命がひとつ終わったことを意味していた。 だが、胸の奥に残る妙な感覚が、しばらく消えなかった。 … 続きを読む

その日、私は「いただきます」が言えなかった。

【プロローグ】 “死神”と聞いて、あなたは何を思い浮かべる? 鎌? 黒いローブ? それとも、冷たい手? ……彼女は、違った。 【第1章★Pain──傷心】 朝の光が、まだ寒さを残す台所に差し込んでいた。 咲良は、冷めたご … 続きを読む

『新たなる目標へ』

──さて、どうしようか。 1番最初に動くことができた者が勝てる状態だ。 なんとしても動いてやりたい。 そう思っていると── ──サッ 俺の身体が勝手に立ち上がり出した。 左手で刺された右腕を押さえた。 なんだなんだ? 誰 … 続きを読む

『特別で驚異的な人間』

──ザザッ‼︎  俺は2人の男の前に立ちはだかった。 「誰だ?」 「お前“ヘッズ”…いや、“テイルズ”か?」 「混合種なんかいるのか?」 「いや、聞いたことないな。」  “ヘッズ”と“テイルズ”?  種族か?  そんなこ … 続きを読む

『死人と罪人だけの世界へ』

「──死人と罪人だけの世界へ、君を導こう。」  面会室に現れた“仮面をつけた面会者”は俺──猪川日生[いのかわ ひなせ]にそう告げた。  冗談だと思った。 夢だと思った。  だが──それは、紛れもなく現実だった。  何故 … 続きを読む

「暁の詩」

宮廷の朝 朝の回廊は、紅葉の屑を踏むたび、薄い音を立てた。 額田王は硯箱を胸に抱え、風をよけるように歩いた。唇は笑みに似ているのに、瞳はどこか遠い。簪の紅椿が、揺れるたびにかすかな香りを残す。  柱の陰で、兵法書を閉じる … 続きを読む

隣室からのノック音(深夜の物音の正体)

 朝、出勤前に管理会社へもう一度電話した。鏡の処分費を了承し、ついでのように訊く。「二〇二号室って、今、空いてますか」 受話器の向こうでキーボードを叩く音。「その部屋は現在“空室”ですね。内見予定もなし」 昨夜のノックを … 続きを読む