魔女のおわり 2025年9月21日2025年7月18日 by NMz 邪悪な魔女がまた外を見た。カラスたちが山のように倒れているのを見て、怒りが体の中で燃えあがった。彼女は銀の笛を三度吹き鳴らす。高く響く音が、静かな空気を切り裂いた。 すぐに、空の彼方から羽ばたきの音が大きくなった。黒い蜂 … 続きを読む
初陣 2025年9月21日2025年7月17日 by NMz 兵士の口ひげは、まるで草のように濃くて緑色だった。その兵士が案内してくれる道は、エメラルドの都の中でも特別にきらめいて見えた。 わたしたちはゆっくりと歩き、門の守護者の家へ向かった。彼は黙って、わたしたちの眼鏡の鍵を開け … 続きを読む
静けさの高原にて 2025年9月21日2025年7月17日 by NMz 青白い文字盤が、黙って「第二時」を示していた。その振り子が、風のない静けさの中、かち、かち、と野原に刻む音だけが響いている。汽車も止まり、草の葉すら動かない。すべてが、透明な沈黙の中にあった。 その静寂を、かすかに破るも … 続きを読む
ウィンキーの国へ 2025年9月21日2025年7月16日 by NMz ブリキの木こりが戻ってきた。 とても落ち込んだ顔をしていた。 「……あんなの、見たことないよ」 しばらく黙ったあとで、ようやく言った。 「火を吹くような、恐ろしい野獣だったんだ。毛がもじゃもじゃで、目が五つもあって… … 続きを読む
神の召しにこたえて 2025年9月21日2025年7月16日 by NMz 「まあ、あの鳥……からすかしら」 少女の声が、そっと車窓の外へ流れた。 「からすじゃないよ。みんな、かささぎさ」 カムパネルラが、静かに言い直す。その言い方に、叱るような色が混じっていて、ジョバンニは思わず笑った … 続きを読む
あとがき 2025年9月21日2025年7月15日 by NMz この手記を書き綴った男を、自分は直接には知らない。 ただ、その手記に登場する、京橋のスタンド・バアのマダムらしき人物を、自分はわずかに知っていた。 小柄な女だった。 顔色が悪く、目尻は細くつり上がっていた。 鼻 … 続きを読む
見えない姿 2025年9月21日2025年7月15日 by NMz 朝になると、あの緑のひげの兵士が、かかしのところにやって来た。 「オズがお呼びです。一緒に来てください」 かかしは、わらの体をぎこちなく揺らしながら立ち上がった。 そして、兵士のあとをついて、玉座の間へと入っていった … 続きを読む
燐光の川辺にて 2025年9月21日2025年7月15日 by NMz ごとごとと音をたてながら、汽車は燐光の川辺を走っていた。 川の水面はきらきらと揺れ、向こうの窓には野原が広がっていた。 それは幻燈のようだった。 百も千もの三角標が、大きさもさまざまに、野の上に立っていた。 大きなも … 続きを読む
第三の手記 18 2025年9月21日2025年7月14日 by NMz 「痛くないんですか?」 ヨシ子は、おどおどしたようすで、自分にたずねました。 「それあ、痛いさ」 そう答えて、自分はふざけた調子で続けました。 「でも、仕事の能率をあげるには、いやでも、これをやらなきゃいけない … 続きを読む
オズの試練 2025年9月21日2025年7月14日 by NMz 小さな扉を押した。 ほんのり緑の光がこぼれる。 胸を張って一歩。空気が冷たい。 円い大広間に出た。 壁も床も天井も――すべて大粒のエメラルド。 頭上には太陽みたいな大きな灯り。 宝石が一斉に火花を散らす。目が焼けそう … 続きを読む