小さな声、大きな波

メネラオスは書斎の椅子に腰を下ろし、今日も古い羊皮紙の束を整理していた。王国の記録をまとめる仕事は、地味だが重要だった。だれも気にしない小さな出来事も、文字として残すことで、未来の決断に生きることがある。 窓の外では、遠 … 続きを読む

こわれた橋と沈黙の人々

リュシアは市場の角で、小麦の袋を並べながら腕を拭いた。朝日が差し込む広場は、今日もにぎやかだ。子どもたちの笑い声、大人たちの呼び声、そして遠くから聞こえるパン屋の鐘。それでも、リュシアの心には少しの重みがあった。 「小麦 … 続きを読む

パンの日とサーカスの日

カイの家は王国のはずれ、小さな丘のふもとにあった。窓を開けると、広場の鐘の音が風に乗って届く。今日は週に一度の「パンの日」だ。 鐘が三回鳴ると、人々がわらわらと通りに出てくる。大きなかごを抱えた女の人、袋を下げた子どもた … 続きを読む