第一の手記 2

 そこで考え出したのは、――道化でした。  それが、自分の、人間に対する、最後の求愛だったのです。  自分は、人間が怖かった。  恐ろしくて、たまらなかった。  けれども、それでも、人間を捨てきれなかった。  どうしても … 続きを読む

第一の手記 1

恥の多い生涯を送って来ました。 自分には、人間の生活というものが、見当もつかないのです。 自分は、東北の田舎に生まれました。汽車を初めて見たのは、もう、かなり大きくなってからのことです。 自分は、停車場のブリッジを、上っ … 続きを読む

はしがき

私は、その男の写真を、三葉、見たことがある。 一葉目は、その男の——いわば「幼年時代」とでも言うべき頃の写真である。 十歳前後かと推定される。 その子供は、大勢の女の人たちに取りかこまれている。 (それは、たぶん姉たち、 … 続きを読む