仲間と挑む、あの“夏”の続き――『アゲイン 28年目の甲子園』が描く、もう一度だけ夢を追う物語


 2025年7月6日(日) 21:00より放送される映画『アゲイン 28年目の甲子園』。中井貴一、波瑠、柳葉敏郎、和久井映見ら実力派キャストが揃い、大人の再出発を感動的に描く話題作だ。その原作にあたるのが、重松清による小説『アゲイン』(集英社刊)をもとに、映画の脚本も手がけた大森寿美男が自ら書き下ろした『アゲイン 28年目の甲子園』(集英社文庫)である。28年前の夏に置き忘れた夢と記憶。そして、今だからこそ挑める“もう一度”の物語が、静かに心を打つ。


アゲイン 28年目の甲子園 (集英社文庫) 文庫 – 2014/12/16 大森 寿美男 (著), 重松 清 (原著)


◆あの夏から、止まっていた時間が動き出す

 主人公・坂町晴彦は、バツイチで単身赴任中の中年サラリーマン。ある日突然、28年前の高校野球仲間・松川の娘を名乗る女性が訪ねてくる。彼女は亡き父が毎年、年賀状を書きながら出せなかった理由を探しに来たのだった。そして彼女は坂町に“マスターズ甲子園”への出場を勧める――。

 高校時代、夢に敗れた男たち。もう二度と交わることはないと思っていた仲間たち。だが、過去に目を背けていた坂町が、一歩を踏み出すことで、物語は静かに、そして力強く動き出す。失ったものの大きさと、取り戻せるものの尊さに気づいたとき、彼らの野球はもう一度始まる。


◆映画版に連なる、もうひとつの“物語”としての原作小説

 本作『アゲイン 28年目の甲子園』は、重松清による原作小説『アゲイン』をもとに、大森寿美男が脚本と連動して書き下ろした映画ノベライズだ。登場人物たちの想い、28年の歳月、そして再び繋がり合っていく人間模様が、抑えた筆致で丁寧に描かれている。

 中井貴一や柳葉敏郎、波瑠、和久井映見といったキャスト陣が彩る映画に負けず、小説の中でも“夢の続きを生きる大人たち”の姿がまっすぐに描かれている。過去の後悔を抱えたまま日々を過ごす人にとって、本作はきっと、“もう一度だけ、やってみようか”という小さな灯をともしてくれるだろう。



まとめ

 大人になった今だからこそ、あの夏にもう一度立ち向かう勇気がある。『アゲイン 28年目の甲子園』は、そんな“遅すぎる挑戦”をまっすぐに描いた物語だ。かつて夢を諦めたすべての人へ、これは野球の物語であると同時に、“人生のマウンド”にもう一度立つ者たちの物語である。


アゲイン 28年目の甲子園 (集英社文庫) 文庫 – 2014/12/16 大森 寿美男 (著), 重松 清 (原著)


コメントする