錆びることがない人

 YouTubeで流れてきたのは,「SNSで大反響!天才新人大学生の才能発掘!」というタイトルの動画だった。そのサムネイルには,左耳にシルバーのフープピアスをつけたまゆが,涼しげな笑みを浮かべて映っていた。  反射的に画 … 続きを読む

名残惜しすぎる別れ

 彼にとって最大の挑戦だったはずの全国高校総合文化祭での結果は,優秀賞という形で一旦幕を閉じた。  彼の描いた作品は自画像だった。しかし,純白のキャンバスを埋め尽くすほどの赤,黄,青,紫,そして黒が万遍に塗られたその絵は … 続きを読む

対抗

「彼」の描く絵は、鮮やかだが透き通っており、力強さというよりは爽やかな印象を与えるものだった。 対して私の描く絵は、陰鬱さを全面に出し、抱え込んだ内情を暗いコントラストで表現していて、彼の絵とは対極に位置するものであった … 続きを読む

彼の美しさに敵うものは、彼の手によってでしか生み出されない

著者 沼田 18歳。noteやTalesで小説を発表中。純文学やSFを中心に、ときどきエンタメ作品にも挑戦。まだ無名ながら、みずみずしい発想と独特の視点が光る。これからどんな物語を紡いでいくのか、成長が楽しみな新人作家。 … 続きを読む

太宰治の作品、どれから読む?初心者におすすめの順番と理由

初めて太宰治に触れる方は、どの作品から読めばいいのか迷ってしまうことでしょう。短編から読むのか、代表作の長編に挑戦するのか。それによって、太宰治の作品の楽しみ方が大きく変わってきます。

小さな声、大きな波

メネラオスは書斎の椅子に腰を下ろし、今日も古い羊皮紙の束を整理していた。王国の記録をまとめる仕事は、地味だが重要だった。だれも気にしない小さな出来事も、文字として残すことで、未来の決断に生きることがある。 窓の外では、遠 … 続きを読む

こわれた橋と沈黙の人々

リュシアは市場の角で、小麦の袋を並べながら腕を拭いた。朝日が差し込む広場は、今日もにぎやかだ。子どもたちの笑い声、大人たちの呼び声、そして遠くから聞こえるパン屋の鐘。それでも、リュシアの心には少しの重みがあった。 「小麦 … 続きを読む